安禄山とロクサーヌ
人から頼まれた文章はなかなか書けないのに、こんな駄文を書いていていいのだろうか。
書評です。
夏期休暇中に図書館で発見して読みました。
ユーラシア大陸を縦横無尽に駆け回った遊牧民、匈奴とか突厥とかキタイとかフン族とかタタールとかモンゴルの話です。
文献資料が主に中国の漢民族によって残されているので、遊牧民というと長城の向こうに住んでいてときどき略奪しにくる蛮族のようなイメージがありますが、この本は視点を遊牧民側に置いて歴史の掘り起こしを図るもの。実はそんな単純なものではないという話です。
漢帝国は事実上匈奴の属国だったとか、その後の中国の王朝(随唐など)もけっこうな数は遊牧民の系統だとか、中国の王朝史観からは見えてこない側面ばかり。
トンデモ史観ではないと思います。丁寧な資料の掘り起こしにより再検証。
ユーラシアの西側と中国の交流史としても面白いです。
その中で出てくるのがタイトルの安禄山。唐に反乱を起こした人です。
イラン系のソグド人と突厥の混血、何カ国語も話すマルチリンガルだったとか。名の「禄山」はソグド語の「ロクシャン」(光とか輝きとかいう意味らしい)の音訳だそうです。
転じて、アレクサンドロス大王が遠征先のバクトリア地方(現在のアフガニスタン北部あたり)で見つけた嫁さん「ロクサネ(ロクサーヌ)」、現地語で星とか輝きとかいう意味だそうです。
同じですよね。これ。
今でも欧米の女性の名前にあります。スティングも歌ってるし。
安禄山と同じとはねえ・・・。
そんな話がたくさん出てくるこの本。面白いです。
マクニールの世界史と一緒に読んでたのでさらに面白かった。
こちらは少し読むのに骨が折れますが。
中央アジアあたりも面白そうですね。尊敬する方がウズベキスタンで事業をなさっていて、ウズベキスタンを紹介するサイトもやってますが、いつかは行ってみたいものです。